この記事でわかること
- 実家の片付けに何回通うことになるのかがわかる
- 交通費と宿泊費の総額を、自分のケースで計算できる
- 通い続けるのと業者に頼むのと、どちらが安いかを数字で比べられる
- 見落としがちな費用が4つわかる
実家が遠い。片付けのために何度も帰省することになりそうだが、交通費だけでいくらかかるのか見当がつかない。
先に、判断の軸を1つ渡します。
片道3時間以上かかる場所なら、通うより業者に頼むほうが安く済むことがほとんどです。
理由は単純で、交通費と宿泊費が往復のたびに発生するうえ、有給を使うならその日数分の給料も実質的なコストになるからです。一戸建てだと10往復以上が普通なので、合計すると業者費用を軽く超えます。
順に計算していきます。

まず、何回通うことになるのか
一人で片付ける場合の目安です。
| 実家の状態 | 往復回数の目安 |
|---|---|
| ワンルーム程度・荷物が少ない | 2〜3回 |
| 1DK・2K | 3〜5回 |
| 2DK・2LDK | 5〜8回 |
| 3LDK | 8〜12回 |
| 一戸建て(庭・物置あり) | 10〜20回 |
長く住んでいた高齢者の家は、たいてい多いほうに入ります。押し入れ、天袋、物置、床下収納。開けるまで中身が分からない場所が多いためです。
そして、この回数は片付け作業だけの数字です。実際にはこれに加えて、葬儀、役所の手続き、相続の書類、業者との打ち合わせ、鍵の引き渡しなどで帰省が発生します。
総額を出す式
手元の数字を当てはめてください。
通い続ける場合の総額
=(往復交通費 + 宿泊費)× 往復回数
+ 粗大ごみ手数料・自己搬入の処分費
+ レンタカー代(必要なら)
+ 有給を使う日数 × 日給
有給1日の金銭価値は「月収 ÷ 20日」で出ます。月収30万円なら1日15,000円です。
具体例で見てみます。
東京在住、実家が大阪、2DKの場合
- 新幹線の往復:約28,000円
- 宿泊(1泊):8,000円
- 往復回数:6回
- 交通費と宿泊費の合計:216,000円
- 有給6日分(月収30万円):90,000円
- 処分費・レンタカー:30,000円
合計約336,000円
2DKの遺品整理費用の目安は10万〜25万円です。通うほうが高くつきます。しかも6日分の休みが失われます。
近隣県で日帰りできる、1DKの場合
- 往復交通費:4,000円
- 宿泊:なし
- 往復回数:4回
- 交通費合計:16,000円
- 有給2日分:30,000円
- 処分費:15,000円
合計約61,000円
1DKの業者費用は5万〜20万円程度なので、この場合は自分でやるほうが安くなる可能性があります。
つまり、距離と間取りで結論が変わります。
見落としがちな費用
計算に入れ忘れやすいものが4つあります。
- 実家までの現地移動
駅から実家までのタクシー代、レンタカー代。田舎ほどここがかさみます。往復2,000〜5,000円が毎回乗ります。
- 処分場への持ち込み
自分で運べば安く上がりますが、車がなければレンタカーが必要です。軽トラで1日6,000〜10,000円。荷物が多ければ何往復もします。
- 光熱費と管理費
片付けが終わるまで電気と水道は止められません。作業のために必要だからです。誰も住んでいない家でも、基本料金は毎月かかります。
固定資産税や、マンションなら管理費・修繕積立金も、その間ずっと発生しています。
- 家賃(賃貸の場合)
賃貸なら、解約するまで家賃が発生し続けます。片付けに3ヶ月かけるということは、家賃3ヶ月分を払うということです。家賃7万円なら21万円です。
これが最大のコストになることがあります。詳しくは賃貸で親が死亡したら退去はいつまでかに書いています。
往復の交通費を計算したら、業者に頼んだ場合の金額も並べてください。比較はそこで完成します。

損益分岐の目安
ざっくりした判断基準です。
| 状況 | 現実的な選択 |
|---|---|
| 日帰りできる距離・ワンルーム | 自分でやったほうが安い |
| 日帰りできる距離・2DK以上 | 半々。有給の使い方で決まる |
| 片道3時間以上・どの間取りでも | 業者のほうが安いことが多い |
| 宿泊が必要・一戸建て | 業者一択 |
| 賃貸で退去期限がある | 業者一択(家賃が積み上がる) |
片道3時間が目安です。ここを超えると往復に丸1日を使うことになり、現地での作業時間が短くなります。作業効率が落ちるぶん、往復回数がさらに増える悪循環に入ります。
通う回数を減らす方法
自分でやると決めた場合でも、回数は減らせます。
1回の滞在を長くする
2泊3日で通うほうが、日帰りを6回繰り返すより交通費が下がります。宿泊費はかかりますが、往復回数が減る効果のほうが大きいことが多いです。
粗大ごみの回収日に合わせる
自治体の回収日を先に押さえて、それに合わせて帰省します。回収日を外すと、次の日程まで待つことになり、そのために一往復増えます。
先に業者の見積もりだけ取っておく
現地調査は1回で済みます。金額が分かってから、自分でやるか任せるかを決めれば、無駄な往復が減ります。
部分的に依頼する
大型家具の搬出だけ、庭木の処分だけ、というように部分依頼を組み合わせると、自分の往復回数を減らせます。ただし出張費が毎回かかるので、まとめて依頼したほうが総額は安くなります。
立会いなしで進める方法は遠方の実家、遺品整理に行けないときの進め方にまとめています。
【FAQ】実家の片付けと帰省費用についてよくある質問
Q. 交通費は相続財産から出せますか。
遺品整理のために要した費用として、相続人間で精算するのが一般的です。ただし相続税の債務控除の対象になるかは別問題なので、金額が大きい場合は税理士に確認してください。領収書は保管しておいてください。
Q. 兄弟で分担する場合、遠方に住む人の交通費はどう扱いますか。
事前に決めておいてください。「交通費は各自負担、業者費用は折半」とするか、「交通費も含めて相続財産から出す」とするか。あとから揉める原因になりやすいところです。
Q. 業者に頼んでも、結局1回は行く必要がありますか。
必要ありません。鍵を郵送するか、キーボックスを設置すれば完結します。ただし「一度は自分の目で見たい」という場合は、現地調査に合わせて1回行くのが効率的です。
Q. 何回も通っているうちに、途中で行かなくなりました。
よくあることです。進んだ実感が持てず、交通費と体力だけが減っていくと続きません。残りの量を業者に見てもらって、金額を知ってから判断し直すのが現実的です。
Q. 帰省のたびに親戚に会わなければならず、それも負担です。
片付けの日程を伝えずに動く、という選択もあります。ただし後で角が立つ場合があるので、あらかじめ「今回は作業だけで帰ります」と伝えておくほうが無難です。
まとめ
- 往復回数は、2DKで5〜8回、一戸建てで10〜20回が目安
- 交通費・宿泊費・有給・処分費・レンタカー代を全部足して比べる
- 片道3時間以上なら、業者に頼むほうが安いことがほとんど
- 見落としやすいのは、現地移動、処分場への持ち込み、光熱費、そして賃貸の家賃
- 賃貸で退去期限があるなら、通っている間も家賃が積み上がる
まず、上の式に自分の数字を入れてみてください。往復1回あたりの金額に、想定される回数を掛けるだけです。
その合計と、業者に頼んだ場合の金額を比べる。業者の見積もりは無料で取れますし、依頼する義務も生じません。数字を並べれば、どちらが得かは考えるまでもなく分かります。
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