孤独死の少額短期保険は片付け費用に使えるか?補償される範囲と確認の順番

孤独死の少額短期保険は片付け費用に使えるか?補償される範囲と確認の順番

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孤独死のあとの部屋を片付けることになり、特殊清掃の見積もりを見て金額に驚いた。そんなとき、保険で賄えないかと考えるのは自然です。

少額短期保険は、孤独死の片付け費用に使えることがあります。ただし、あなたが加入している必要はありません。

この種の保険は、亡くなった本人ではなく、部屋を貸している大家が加入しているケースが多いためです。大家が入っていれば、原状回復費用の一部がそこから補填され、相続人や連帯保証人への請求額が下がります。

問題は、聞かないと教えてもらえないことです。管理会社から「保険が使えますよ」と向こうから言ってくることは、まずありません。

目次

保険は「家主型」と「入居者型」の2つがある

孤独死に関する保険は、誰が契約しているかで2つに分かれます。検索して出てくる商品名が混ざって見えるのは、この2種類があるためです。

家主型入居者型
契約者大家、管理会社入居者本人
建物単位か部屋単位か建物ごと部屋ごと
保険金の受取先大家入居者側
相続人にとっての意味大家の負担が埋まる分、請求額が下がる費用に直接充てられる

多いのは家主型です。だから、自分が何も入っていなくても関係してきます。

もうひとつ知っておくと役に立つのが、保険期間です。孤独死保険は少額短期保険という区分の損害保険で、保険期間は最長2年と決まっています(保険業法施行令1条の5)。自動的に続くものではありません。

だから確認するときは「入っていますか」ではなく「いま有効ですか」と聞いてください。去年は入っていたが更新していない、ということが起こります。

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補償される費用は3種類

補償の対象になるのは、主に次の3つです。

補償の内容中身
原状回復費用特殊清掃、消臭、汚損した床材や壁材の交換
遺品整理・残置物処理費用室内に残された家財の撤去(商品による)
家賃の損失次の入居者が決まるまでの空室期間、値下げ分の補填

商品によって、この3つすべてを補償するものと、原状回復だけのものがあります。上限額もそれぞれ決まっています。

誰が入っている保険なのかで、話が変わる

ここが一番わかりにくいところです。孤独死に関係する保険は3種類あり、加入者が違います。

  1. 大家が加入している孤独死保険

もっとも多いパターンです。賃貸経営のリスクに備えて、貸主側が建物単位で加入しています。

保険金は大家に支払われるので、あなたが直接受け取ることはありません。その代わり、大家が負担した分が保険で埋まるため、相続人や連帯保証人への請求額が減ります。

  1. 亡くなった方が加入していた家財保険(借家人賠償責任特約)

入居者が自分で加入する火災保険や家財保険に、借家人賠償責任の特約が付いていることがあります。部屋に損害を与えた場合の賠償を補償するものです。

孤独死が対象になるかは商品によって分かれます。契約書類を探して、保険会社に直接聞いてください。

  1. 家賃保証会社の保証範囲

保証会社が入っている場合、家賃の滞納だけでなく原状回復費用まで保証対象に含む商品があります。これも契約内容次第です。

3つとも、あなたが加入していなくても関係してくる可能性があります。だから確認する価値があります。

相談者

こちらが入っていない保険のことを、聞いてもいいものでしょうか?

富永

聞いていいです。請求される側には、その金額の根拠を知る立場があります

相談者

断られたらどうしますか?

富永

そのときは請求書の中身を見る話に移ります。保険とは別に、そもそも払わなくてよい項目が混ざっていることがあります

少額短期保険を確認する順番

上から順に聞いてください。1つ目で見つかることが多いです。

STEP
管理会社に電話して、大家の保険を聞く

「大家さんは孤独死に関する保険に加入されていますか? いま有効ですか? 原状回復費用のうちどこまでが保険の対象になりますか?」この3つを続けて聞きます

STEP
亡くなった方の書類から保険証券を探す

火災保険と家財保険の証券を探します。見つからなくても、通帳の引き落とし履歴から保険会社名が分かることがあります

STEP
保証会社の契約書を確認する

賃貸借契約書と一緒に保証委託契約書が保管されていることが多いです。どの保証会社かは管理会社に聞けば分かります

STEP
保険会社に補償の範囲を直接聞く

遺品整理まで含むか、免責金額がいくらかを確認します。ここで自己負担額が読めます

加入していれば、原状回復費用の見積もりを保険会社に出す流れになります。保険金が下りる範囲は、請求額から差し引かれるべきものです。

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保険が使えても、全額は出ない

期待しすぎないためにも、限界を書いておきます。

  • 上限額が決まっているため、原状回復費用が上限を超えた分は自己負担になる
  • 遺品整理まで含まない商品では、家財の撤去費用は対象外
  • 経年劣化は対象外なので、汚損と無関係な部分のリフォームは補償されない
  • 免責金額がある商品では、一定額までは自己負担になる

それでも、数十万円が変わることがあります。聞くだけならタダなので、必ず確認してください。

少額短期保険が使えなかった場合

自己負担になりますが、負担を減らす手はまだあります。

請求内容そのものを見直す

ここは保険とは別の話で、条文に根拠があります。民法621条です。

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用および収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。

通常の使用による傷みと経年変化は、条文の段階で原状回復義務から除かれています。 2020年の民法改正で明文化された部分です。

だから、日焼けした畳、家具を置いていた床のへこみ、耐用年数を過ぎた設備の交換。こうした項目が請求書に入っていたら、そこは払う義務のない部分にあたる可能性があります。

判断の細かい基準は国土交通省のガイドラインにまとまっています。

参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン|国土交通省

請求書の見方は賃貸の遺品整理費用を大家から請求されたで細かく分けています。

相続財産から支払う

亡くなった方に預貯金があれば、そこから支払うのが本来の形です。自分の給料から出す前提で考える必要はありません。

相続放棄を検討する

負債のほうが大きいなら、相続放棄をすれば支払い義務はなくなります。ただし部屋の物に手を付けた後では放棄できなくなる可能性があるので、業者を手配する前に判断してください。期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法915条1項)。

そもそも誰が払う義務を負っているのかは孤独死の原状回復費用は誰が払うのかで整理しています。

孤独死の少額短期保険でよくある質問

自分が保険に入っていなくても使えますか?

使えることがあります。多くは大家が建物単位で加入しているためです。保険金は大家に支払われますが、その分だけ相続人や連帯保証人への請求額が下がります。

なぜ少額短期保険なのですか?

孤独死保険は損害保険にあたり、少額短期保険業者が扱える上限は1,000万円、保険期間は2年です。原状回復費用の規模がこの枠に収まるためです。

去年入っていた保険は今年も有効ですか?

自動的には続きません。少額短期保険の損害保険は保険期間が最長2年で、更新しなければ切れます。「入っていますか」ではなく「いま有効ですか」と聞いてください。

遺品整理の費用も保険で出ますか?

商品によります。原状回復だけを対象にするものと、残置物の処理まで含むものがあります。保険会社に範囲を直接確認してください。

保険で足りなかった分は全部払うのですか?

請求書の中身を先に見てください。通常の使用による傷みと経年変化は、民法621条で原状回復義務から除かれています。

管理会社が保険のことを教えてくれません。

請求される側には金額の根拠を知る立場があります。それでも進まない場合は、請求書の項目ごとに根拠を書面で求めてください。

支払いを待ってもらうことはできますか?

相続財産の調査中であることを伝えて、期限を延ばしてもらう交渉はできます。3か月の熟慮期間の説明をすると通りやすくなります。

この記事の要点

  • 孤独死保険は多くの場合、大家が建物単位で加入している。自分が入っている必要はない
  • 少額短期保険の損害保険は上限1,000万円、保険期間は最長2年。更新されていないことがあるので「いま有効か」を聞く
  • 補償されるのは原状回復費用、残置物の処理、家賃の損失。どこまで含むかは商品ごとに違う
  • 保険で埋まらない分も、通常の使用による傷みと経年変化は民法621条で原状回復義務から外れている
  • 部屋の物に手を付ける前に、相続放棄をするかどうかを決める。期限は3か月

まずは管理会社に電話して、「大家さんは孤独死の保険に入っていますか?いま有効ですか」と聞いてください。それだけで数十万円変わることがあります。

そのうえで請求額が残るなら、その金額が妥当かどうかを別の業者の見積もりと比べて判断してください。見積もりを取ること自体に費用はかかりません。

孤独死の少額短期保険について次に読む記事

続けて読むなら、このあたりです。

保険で賄いきれない分が残ったら、その金額が妥当かどうかを別の見積もりと比べてください。

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この記事を書いた人

「実家じまいの手引き」は、親が亡くなったあとの実家をどうするかについて、実際に確認できた事実だけを掲載している個人運営の情報サイトです。

遺品整理の費用と期限、相続放棄で触れてはいけないもの、誰も住まない家にかかり続ける税金、売れない空き家の手放し方。この一連の流れを、時系列に沿ってまとめています。

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