この記事でわかること
- 墓を放置しても法律で罰せられないこと
- 管理料を払わなかった場合に、何年で何が起きるか
- 無縁墓として撤去されると遺骨がどうなるか
- 家の放置と決定的に違う点
管理料の請求だけが毎年届く。墓じまいには100万円近くかかると聞いた。このまま放っておいたらどうなるのか?
先に結論を書きます。
墓を放置しても、法律で罰せられることはありません。
起きるのは管理料の請求が続くことだけです。金額は年間1,620円から1万円程度です。滞納を続ければ最終的に使用許可が取り消されますが、公営霊園なら5年前後かかります。
つまり、1年放置して増えるのは、数千円から1万円です。
判断を先延ばしにしても、失うものは小さいということです。ただし、これは墓の話に限った場合です。
墓じまいをせず管理料を止めるとどうなるか?
公営霊園の条例には、滞納が続いたときの手順が書かれています。東京都の例です。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 滞納1年目 | 督促状が届く |
| 滞納が続く | 連絡が取れなければ官報や現地の掲示で公告される |
| 5年間納付なし | 使用許可の取消対象になる(東京都霊園条例第21条第3号) |
| 取消後 | 東京都が墓所を更地にする |
| その後 | 取り出された遺骨は合祀される |
出典:東京都霊園条例
年数は自治体で違います。小田原市の久野霊園は3年間納めないと許可が取り消されることがあります。霊園ごとの規定は霊園から探すにまとめました。

墓じまいをしない選択は撤去費の節約にならない
「取り消されれば市が更地にしてくれるなら、放っておけばいいのでは」と考える方がいます。
現実には2つの問題があります。
滞納した管理料は請求されます。使用許可が取り消されても、それまでの未納分が消えるわけではありません。自治体によっては、更地にした費用を請求されることもあります。
遺骨は合祀されます。他の方の遺骨と一緒に埋葬されるため、あとから個別に取り出すことはできません。5年後に気が変わっても戻せません。
自分の代では困らなくても、子や孫が「先祖の墓はどこか」と聞いてきたときに、答えが「どこにあるか分からない」になります。
名義人が亡くなっていると、放置が別の問題になる
墓の名義が亡くなった親のままになっている場合、放置には別のリスクが加わります。
承継の手続きをしないまま年数が経つと、返還したくなったときに手続きに進めなくなります。八王子市のように、承継の申請に「使用者が亡くなった日から2年以内」という期限を設けている自治体があるためです。
さらに時間が経つと、承継できる立場の親族が増えて話がまとまらなくなります。いとこの代まで散らばると、連絡先を集めるところから始まります。
墓じまいをするつもりがなくても、名義の確認と承継の届出だけは早めにやっておいてください。費用はほとんどかかりません。
墓じまいをしない場合と、家を放置した場合の違い
墓を放置しても増えるのは管理料だけです。家は違います。
| 墓 | 実家 | |
|---|---|---|
| 法律上の期限 | ない | 相続登記は3年以内 |
| 罰則 | ない | 10万円以下の過料 |
| 年間のコスト | 管理料1,620〜1万円 | 固定資産税と管理費で10万〜30万円 |
| 放置で悪化するか | しない | 建物が傷み、評価が下がる |
| 近所への影響 | ない | 苦情や勧告の対象になる |
相続登記は2024年4月1日から義務になりました。2024年3月31日以前に発生した相続も対象で、2027年3月31日が期限です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
つまり、墓は待てますが、家は待てません。
墓じまいに半年かけている間に、家のほうで期限が来ます。どちらから手をつけるべきかは墓じまいと実家のどちらを先に片付けるべきかに書きました。
墓じまいをしないと決めた場合にやっておくこと
墓じまいを急がないと決めた場合でも、費用のかからない準備だけは進められます。
使用許可証を探して、いま誰の名義かを見ます。親のままなら承継の届出をします
撤去費は面積で決まります。使用許可証に書いてあります
滞納があると改葬の手続きに進めない自治体があります
墓じまいの予算はここで決まります。査定は無料です
費用はほとんどかかりませんが、期限のある自治体があります。名義が亡くなった親のままだと、いざ返還しようとしたときに動けなくなります。
墓じまいをしないとどうなるかのよくある質問
- 管理料を払わないと督促は来ますか?
来ます。住所が変わっている場合は届かないことがありますが、公告を経て手続きは進みます。連絡が取れないほうが早く取消に向かいます。
- 何年で撤去されますか?
自治体によります。東京都は5年、小田原市は3年が目安です。公告の期間があるので、通知から実際の撤去まではさらに時間がかかります。
- 滞納分は払わなくて済みますか?
済みません。使用許可が取り消されても未納分は請求されます。更地にした費用を請求されることもあります。
- 放置したまま自分が亡くなったらどうなりますか?
相続人に承継されます。名義変更をしないまま放置されると、最終的には無縁墓として処理されます。子の世代に判断と費用が渡ります。
まとめ
- 墓の放置に法律上の罰則はない。増えるのは年1,620〜1万円の管理料だけ
- 滞納が続けば使用許可が取り消される。東京都は5年、小田原市は3年
- 取り消されても未納分は請求される。遺骨は合祀され、個別には戻せない
- 家には期限がある。相続登記は2027年3月31日まで
墓は急がなくて構いません。ただし実家が残っているなら、そちらの名義と金額だけは先に確認しておいてください。墓じまいの予算も、その金額が分かってから決められます。

