この記事でわかること
- 追加請求に応じる必要があるかどうかの判断基準がわかる
- 正当な追加と、不当な追加の見分け方がわかる
- 作業当日に金額を上げられたときの対応がわかる
- 次回から防ぐために、契約前に確認すべきことがわかる
見積もりでは15万円だったのに、作業が終わってから25万円を請求された。「思ったより荷物が多かった」と言われている。
払う必要があるかどうかは、見積書と契約書に何が書かれていたかで決まります。
追加請求そのものが不当というわけではありません。押し入れの中を見ていなければ、量が読めないのは事実です。ただし、事前に何も説明せず、作業後に一方的に金額を上げるのは別の話です。
まず、手元の書類を確認するところから始めてください。

正当な追加と、不当な追加
| 状況 | 正当性 |
|---|---|
| 見積書に「別途協議」の記載があり、作業前に説明があった | 正当。ただし金額の妥当性は確認できる |
| 現地調査で見ていない場所から大量に出てきた | 正当な場合がある。事前説明があったかによる |
| 家電4品目が見積もりに含まれていなかった | 見積書に明記されていれば正当 |
| 危険物(灯油・ペンキ・消火器)が出てきた | 正当。処理費が別なのは一般的 |
| 作業後に、理由の説明なく金額だけ上げられた | 不当の可能性が高い |
| 「一式」の見積もりで、内訳の説明がないまま増額 | 不当の可能性が高い |
| 作業を中断して支払いを迫られた | 不当。悪質な手口として知られている |
判断の軸は3つです。
- 見積書に追加が発生する条件が書かれていたか
- 追加が必要になった時点で、作業を止めて説明があったか
- 増額分の内訳が示されているか
この3つがそろっていれば、支払いに応じる方向で検討することになります。どれか欠けているなら、交渉の余地があります。
作業当日に金額を上げられたとき
その場での対応が重要です。
① 作業を止めてもらう
「一度止めてください」と言って構いません。作業が進むほど、断りにくくなる構造があります。
② 増額の理由と内訳を書面で求める
口頭だけで進めないでください。「何が、どれだけ、いくら増えるのか」を書いてもらいます。
③ その場でサインしない
追加契約書にその場で署名を求められることがあります。持ち帰って確認する時間を求めてください。断られるなら、その時点で問題のある業者です。
④ 撤収してもらう選択もある
作業が始まっていても、契約内容と違うなら中止を求められます。ここまでの作業分の実費は請求される可能性がありますが、不当な全額を払うよりましです。
⑤ 録音する
やり取りを記録しておくと、後の交渉で有効です。相手に告げる必要はありません。
すでに支払ってしまった場合
取り戻すのは難しくなりますが、方法はあります。
消費生活センターに相談する
訪問販売や特定商取引に該当する場合、クーリングオフが使える可能性があります。自宅で契約した場合は特定商取引法の対象になることがあります。
参考:消費者ホットライン 188|消費者庁
クレジットカードで払った場合
カード会社に相談すると、支払い停止の抗弁が使えることがあります。早いほど有効です。
少額訴訟
60万円以下の金銭請求なら、簡易裁判所の少額訴訟が使えます。1回の期日で判決が出る手続きです。
まず消費生活センターに電話するのが最短です。 188にかければ最寄りの窓口につながります。
防ぐために、契約前に確認すること
追加請求の大半は、事前の確認で防げます。
① 押し入れ・物置・屋根裏を全部開けて見てもらう
見積もりの精度は、どこまで見たかで決まります。開けていない場所があると、そこが追加の原因になります。
見積もり当日、自分で全部開けておいてください。
② 追加費用が発生する条件を書面に入れてもらう
「想定を超えた場合は事前に協議し、書面で合意した場合に限り追加する」という一文があるだけで、当日の一方的な増額を防げます。
③ 家電4品目と危険物を先に確認する
エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機。それと灯油、ペンキ、消火器、バッテリー、農薬。これらが含まれているかを見積もりの段階で聞いてください。
④ 「一式」表記の見積もりを受け取らない
項目ごとに単価と数量が書かれた見積書を求めてください。内訳がなければ、増額の根拠も検証できません。
⑤ 相見積もりを取る
3社取っておけば、追加後の金額が妥当かどうかも判断できます。取り方は遺品整理の相見積もりは何社とるべきかにまとめています。
増えた作業について別の見積もりを取れば、その金額が相場から外れているかが分かります。

悪質な業者の手口
知っておくと避けられます。
無料回収を掲げて後から請求する
「不用品を無料で引き取ります」と言いながら、作業後に高額な作業費を請求します。トラックで巡回している業者に多い手口です。
作業を人質にする
荷物をトラックに積み込んだ状態で増額を要求します。断れば荷物を戻すと言われ、断りにくい状況が作られます。
見積書を出さない
口頭のみで話を進め、書面を残しません。あとから「そんな金額は言っていない」と主張されます。
その場での即決を迫る
「今日決めていただければ値引きします」。持ち帰って比べる時間を認めない業者は避けてください。
共通しているのは、書面を残さないことです。見積書を書面で出さない業者は、その時点で候補から外してください。
大家や管理会社からの請求の場合
自分で業者を手配したのではなく、大家側が手配した業者の費用を請求されているなら、話が変わります。
その場合は、請求の内訳を求めたうえで、通常損耗や経年劣化が含まれていないかを確認してください。
参考:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン|国土交通省
対応の手順は賃貸の遺品整理費用を大家から請求されたにまとめています。
【FAQ】遺品整理の追加請求についてよくある質問
Q. 見積書に「別途協議」と書いてありました。払うしかないですか。
協議が実際に行われたかが問題です。作業前に説明を受けて合意していれば払う必要がありますが、事後に一方的に決められたなら交渉できます。
Q. 金額の妥当性はどう判断すればいいですか。
増えた作業内容について、別の業者に見積もりを取ってみてください。相場から大きく外れていれば交渉材料になります。
Q. 支払いを拒否したらどうなりますか。
業者から請求や訴訟を起こされる可能性があります。全額拒否ではなく、妥当と思われる範囲を提示して交渉するほうが現実的です。
Q. 契約書を交わしていません。
書面がなくても契約は成立しますが、内容の証明が難しくなります。メールやLINEのやり取りが残っていれば、それが証拠になります。
Q. どこに相談すればいいですか。
まず消費生活センター(188)です。無料で、対応の方向性を教えてもらえます。金額が大きく話がまとまらない場合は弁護士へ。
まとめ
- 追加請求の正当性は、見積書の記載、事前説明の有無、内訳の提示で判断する
- 当日に増額されたら、作業を止めて、書面で理由と内訳を求める。その場でサインしない
- すでに払った場合は消費生活センター(188)へ。クレジット払いなら支払い停止の抗弁も
- 防ぐには、押し入れと物置を全部開けて見てもらうのがいちばん効く
- 「一式」表記の見積書を受け取らない。書面を出さない業者は避ける
いま請求を受けている段階なら、まず見積書を出して、追加の条件が書かれているかを確認してください。書かれていないなら、その一点で交渉できます。
これから依頼する段階なら、見積もりの日に押し入れと物置と屋根裏を全部開けておいてください。それだけで追加請求の大半は防げます。
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これから頼む段階なら、複数社の見積もりを持っておくことが、そのまま追加請求への備えになります。

