この記事でわかること
- 遺品整理を自分でやる場合の、正しい順番がわかる
- 最初にやるべきことと、絶対にやってはいけないことがわかる
- 必要な道具と、量の見積もり方がわかる
- どこまで来たら業者に切り替えるべきか、その判断ラインがわかる
遺品整理を業者に頼めば数十万円かかる。自分でやれば処分費だけで済むはずだ。そう考えるのは自然ですし、実際に自分で終わらせている人もいます。
この記事では、手を抜かずに手順を書きます。そのうえで最後に、途中で業者に切り替えるべきラインも書きます。自分でやると決めた人の半分近くが、どこかで手が止まるからです。無理だと分かった時点で切り替えられれば、損失は最小で済みます。
まず、順番を間違えると取り返しがつかないものが1つあります。そこから始めます。

その前に。相続放棄を考えているなら手をつけない
親に借金がある可能性があるなら、部屋の物を1つも動かさないでください。
民法921条により、相続財産を処分すると単純承認したものとみなされます。片付けを始めた時点で、相続放棄ができなくなる可能性があります。
出典:民法第921条(法定単純承認)|e-Gov法令検索
期限は「自分が相続人だと知ったときから3ヶ月」です。まず借金の有無を確認して、相続するかどうかを決めてから着手してください。線引きは相続放棄をする前に、遺品に触っていいのかにあります。
① 貴重品を探す(最優先)
片付けを始める前に、家中を回って次のものを探します。
- 通帳、キャッシュカード、印鑑
- 不動産の権利証、登記識別情報
- 生命保険・火災保険の証券
- 年金手帳、健康保険証
- 有価証券、貴金属
- 借入の契約書、督促状
これらが処分品に紛れると、後から探すのが極めて困難になります。タンスの奥、仏壇の引き出し、本の間、着物の帯の中。高齢者は分散して保管している場合が多いので、一箇所で見つかっても探すのをやめないでください。
督促状が出てきた場合は、その時点で相続放棄の検討に戻ってください。
② 全体の量を測る
いきなり手を動かさず、まず量を把握します。判断を間違えるのはここです。
部屋ごとに、次を数えてください。
- 大型家具(タンス、食器棚、ベッド、机、ソファ)の数
- 家電(冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコン、電子レンジ)の数
- 押し入れ、天袋、物置、床下収納の数
一人で1日(8時間)に処理できる量の目安は、45リットルのゴミ袋で15〜25袋、押し入れなら1〜2間分です。家具や家電が入ると大きく落ちます。
間取り別の日数は遺品整理を自分でやると何日かかるかで出しています。
③ 自治体のルールを確認する
処分方法は自治体ごとに違います。着手前に市区町村のサイトか窓口で確認してください。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 粗大ごみの申し込み方法と回収日 | 出したい日に出せない。回収日が進行を決める |
| 1回に出せる点数の上限 | 上限があると何回にも分けることになる |
| 自己搬入できるか、受付は平日のみか | 土日に持ち込めない自治体がある |
| 家電4品目の扱い | エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は粗大ごみに出せない |
参考:家電4品目の「正しい処分」早わかり!|経済産業省
粗大ごみの回収日が、片付けの進むペースを決めます。ここを先に押さえてから作業の予定を組んでください。
④ 道具をそろえる
現地で足りないと気づくと、その日が半分潰れます。
- 軍手(滑り止め付き)、厚手のゴミ袋、ガムテープ
- カッター、ドライバー、六角レンチ(家具の解体用)
- マスク(ほこりが想像以上に出ます)
- 台車、養生テープ
- 油性ペン(袋の中身を書く)
家具の解体を予定しているなら、電動ドライバーがあると作業時間が半分になります。数千円で買えます。
⑤ 部屋単位で終わらせる
家全体を少しずつ進めるのではなく、1部屋ずつ完全に終わらせてください。
終わった部屋のドアを閉めれば、進んだことが目に見えます。この実感が続けるための燃料になります。全体を均等に進めると、何日やっても景色が変わらず、気力が先に尽きます。
順番は、思い入れの少ない部屋から。玄関、廊下、水回り、物置。親の寝室や書斎は最後に回してください。最初に手をつけると、そこで止まります。
自分でやる前提でも、頼んだ場合の金額を知っておくと、途中で切り替える判断ができます。

⑥ 「捨てる・残す」の二択にしない
判断が重くなると手が止まります。三択目を作ってください。
段ボールを2〜3箱用意して、迷ったものは全部そこに入れます。中身は見返さない。ふたを閉めて日付を書く。それだけです。
これで、家の中の物は「明らかに要らないもの」と「保留箱」に分かれます。判断しなければならない量が劇的に減ります。
手が止まる理由と、その外し方は親の遺品が捨てられないに書いています。
⑦ 搬出と処分
粗大ごみの回収日に合わせて出すか、処分場へ自己搬入します。
自己搬入なら手数料が安く済みますが、車が必要です。軽トラのレンタルは1日6,000〜10,000円程度。積載量は2畳分ほどなので、一戸建てなら何往復もすることになります。
往復回数の見積もりは実家の片付けは軽トラで何往復になるかで出しています。
途中で業者に切り替えるべきライン
自分でやると決めた人でも、次のどれかに当てはまったら切り替えを検討してください。無理を続けても状況は良くなりません。
- 予定の3分の1を過ぎて、半分も進んでいない
このペースだと、当初の想定の2倍以上かかります。残りの期間で終わる見込みがあるか計算してください。
- 大型家具が3点以上残っている
タンス、食器棚、ベッド。これらは一人では階段を下ろせません。無理をすると怪我をします。
- 期限まで2週間を切った
賃貸の退去期限や売却の予定があるなら、この時点で業者に連絡してください。直前になるほど選択肢が減り、言い値で決めることになります。
- 2回続けて予定日に行けなかった
一度リズムが崩れると戻りません。3ヶ月経ってまだ半分、という状態になります。
- 気持ちが持たない
物理的にできても、精神的に続かないことがあります。これは弱さではありません。片付けが止まったまま家が放置されるほうが、はるかに損失が大きい。
途中まで自分でやって、残りを頼むのが一番安い
全部やるか、全部任せるかの二択で考えないでください。
判断が要るもの(貴重品、写真、仏壇まわり)だけ自分でやって、運ぶだけのもの(家具、家電、食器、衣類)を任せる。これなら自分の作業は1〜2日で終わり、費用も全部任せるより下がります。
途中の状態でも見積もりは出ます。写真を送るか現地調査を受ければ、残りいくらかが分かります。見積もりを取ったからといって、依頼する義務はありません。
まとめ
- 相続放棄を考えているなら、着手する前に判断する
- 最初にやるのは片付けではなく、貴重品の捜索
- 粗大ごみの回収日と自治体のルールが、進むペースを決める
- 部屋単位で終わらせる。思い入れの少ない部屋から
- 「捨てる・残す」の二択をやめて、保留箱を作る
- 予定の3分の1で半分も進んでいないなら、切り替えを考える
自分でやること自体は十分に可能です。ただ、量を見誤ったまま突き進むと、期限に追われて割高な業者に飛びつくことになります。
着手する前に一度だけ見積もりを取っておくと、判断の基準ができます。「頼んだらいくらか」を知っていれば、途中で切り替えるかどうかを数字で決められます。
次に読む
この記事と同じ段階で読まれているものです。
着手する前に一度見積もりを取っておくと、断念ラインを数字で決められます。

