この記事でわかること
- 亡くなった親の日記や手紙を読むことが法律上どうなるかがわかる
- 読む前に決めておくべきことがわかる
- 読まずに処分する方法がわかる
- 兄弟がいる場合の扱いがわかる
引き出しから日記が出てきた。手紙の束もある。読んでいいものか、迷って手が止まっている。
この迷いは、片付けの現場で実際に起きています。そして、これは片付けの手が止まる典型的な場面です。
先に、法律上の扱いを書きます。
亡くなった方の日記や手紙を、相続人が読むこと自体を禁じる法律はありません。 信書開封罪は、封をしてある信書を正当な理由なく開けた場合の規定で、その対象は「他人の信書」です。相続によって承継した遺品を相続人が確認する行為が、これに当たると考えるのは一般的ではありません。
つまり、法律の問題というより、自分がどうしたいかの問題です。

読む前に決めておくこと
読んでしまってから戻すことはできません。開ける前に、次の3つを考えてください。
1 何のために読むのか
- 相続に必要な情報を探している
- 親のことを知りたい
- 処分してよいか判断したい
目的が「必要な情報を探す」なら、全部を読む必要はありません。通帳の場所、保険、借金、遺言の有無。これらは表紙や書き出しを見れば見当がつきます。
2 知りたくないことが書かれていたらどうするか
日記には、家族について書かれていることがあります。自分についての記述もあります。好意的な内容とは限りません。
読んでから後悔した、という声は実際にあります。ここを想像したうえで開けてください。
3 兄弟に共有するかどうか
自分だけが読んで、内容を伝えないという選択もあります。逆に、全員で読むという決め方もあります。
先に決めておかないと、あとから「なぜ黙っていたのか」となることがあります。
相続に関わる情報を探す場合
日記や手紙の中に、手続きに必要な情報が残っていることがあります。
| 探しているもの | 見つかることがある場所 |
|---|---|
| 遺言書の存在 | 日記の記述、封書、貸金庫の記録 |
| 借金の有無 | 督促の手紙、返済の記録 |
| 保険の契約 | 保険会社からの封書 |
| 家を買ったときの金額 | 契約書、領収書、当時の手紙 |
| 疎遠な相続人の存在 | 手紙の差出人 |
取得費の証明になる書類が混ざっていることがあります。家を売る予定があるなら、処分する前に必ず確認してください。税額が大きく変わります。詳しくは親の家の取得費が分からない、契約書がないにあります。
そして、自筆の遺言書が見つかった場合、封を開けないでください。家庭裁判所での検認が必要です。勝手に開封すると過料の対象になります。
読まずに処分する
読まないという選択も、同じだけ正当です。
方法
- 中を見ずに、そのまま供養に出す
- 遺品整理業者に、開けずに供養へ回すよう依頼する
- 自治体のルールに従って処分する
供養に出す場合の費用は、数千円から3万円程度が目安です。段ボール1箱単位で受け付ける寺社があります。
「読まなかったこと」を後悔する方もいます。ただ、読んで後悔することも同じくらいあります。どちらが正しいというものではありません。
兄弟がいる場合
処分する前に、存在を伝えてください。
「日記と手紙が出てきた。読むか、読まずに供養に出すか、どうしたいか」
この一言があるかどうかで、あとの関係が変わります。黙って処分したことが、あとで問題になるのがいちばん多い形です。
決め方の例です。
- 全員が読まないと決めて、開けずに供養する
- 希望する人だけが読む
- 相続に関わる部分だけを確認し、それ以外は読まない
- 全員が集まったときに一緒に開ける
期限を切ってください。「◯月◯日までに希望がなければ、開けずに供養に出します」と伝えれば、判断が止まりません。
処分の合意の作り方は兄弟の遺品を勝手に処分するとトラブルになるかにまとめています。

手紙の差出人について
古い手紙から、知らない親族の存在が分かることがあります。
相続人が増える可能性があるなら、確認が必要です。ただし、手紙だけでは判断できません。相続人の範囲は戸籍で確定させます。
差出人に連絡するかどうかは、また別の判断です。訃報を知らせるべき相手が含まれていることもあります。
手が止まったときの進め方
日記や手紙は、写真と同じく仕分けが進みません。1通ごとに判断が要るためです。
進め方は写真と同じです。
- 日記と手紙は保留の箱にまとめる
- 家具、衣類、生活用品を先に片付ける
- 箱に収まる量まで減ったら持ち帰る
- 後日、落ち着いた場所で決める
今日決めなくて構いません。紙は場所を取らず、傷みもゆっくりです。急いで決める理由がありません。
手が止まる仕組みは遺品整理で気持ちが追いつかないにまとめています。
【FAQ】親の日記や手紙についてよくある質問
Q. 読んだことを兄弟に言うべきですか。
言っておいたほうが、あとの関係が保てます。内容まで共有するかは別に決められます。
Q. 封のしてある手紙はどうすればいいですか。
自筆の遺言書の可能性があるものは開けないでください。それ以外は、読むかどうかを自分で決められます。
Q. 遺言書らしきものが出てきました。
開封せず、家庭裁判所に検認を申し立ててください。法務局に預けられている場合は検認が不要です。
Q. 読まずに捨てるのは冷たいでしょうか。
そうではありません。読まないと決めることも、故人への向き合い方のひとつです。
Q. 業者に頼むと勝手に読まれませんか。
供養に回すよう指示すれば、開封せずに扱われます。依頼のときに明示してください。
まとめ
- 亡くなった親の日記や手紙を相続人が読むことを、法律が禁じているわけではない
- 開ける前に、目的と、知りたくない内容が出てきたときの対応を決めておく
- 相続に必要な情報や、家の取得費を示す書類が混ざっていることがある
- 自筆の遺言書らしきものは開封しない。家庭裁判所の検認が必要
- 読まずに供養へ出す選択も同じだけ正当
まず、日記と手紙は保留の箱にまとめてください。他のものを先に片付けたほうが確実に進みます。
そして、兄弟がいるなら存在だけは伝えてください。読むかどうかは、そのあとで決められます。
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開けずに供養へ回すよう指示できます。作業とあわせて頼めば、自分で判断せずに済みます。

