この記事でわかること
- 名義が親のままの不動産を売れるかどうかがわかる
- 売却までに必要な手続きの順番がわかる
- 名義変更にかかる期間と費用がわかる
- 買主が決まってから慌てないための進め方がわかる
実家を売ろうと不動産会社に相談したら、名義が親のままだと言われた。この状態で売れるのか。
結論から言います。
名義が亡くなった親のままでは売れません。 売買契約そのものは結べても、所有権を買主に移す登記ができないためです。登記できなければ、決済も引き渡しもできません。
ただし、売却活動を始めることはできます。 相続登記と並行して進めれば、時間を無駄にせずに済みます。
順番を間違えると、買主が決まってから数ヶ月待たせることになります。
査定と相談は、名義が親のままでも受けられます。登記の準備と並行して進められます。

なぜ売れないのか
不動産を売るというのは、所有権を買主に移すことです。
登記の名義が亡くなった方のままだと、その方から買主へ直接移すことができません。いったん相続人へ名義を移してから、買主へ移すという二段階が必要になります。
この「いったん相続人へ移す」のが相続登記です。
なお、相続登記は2024年4月1日から義務になっています。3年以内に行わないと10万円以下の過料の対象です。売却の予定がなくても、いずれやることになります。
詳しくは実家の名義を親のまま放置しているにまとめています。
売却までの順番
- 相続人を確定する
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めて、相続人が誰かを確定します。ここでしか分からない相続人が出てくることがあります。
- 遺言があるか確認する
遺言があれば、その内容が優先されます。自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要な場合があります。公正証書遺言なら公証役場で調べられます。
- 誰が引き継ぐかを決める
- 相続人の一人が単独で取得する
- 共有名義にする
- 売却して代金を分ける(換価分割)
売却が目的なら、単独取得か換価分割にしてください。共有名義にすると、その後の手続きで全員の署名と実印が毎回必要になり、決済日の調整も難しくなります。
- 遺産分割協議書を作る
相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要です。
- 相続登記を申請する
法務局に申請します。完了まで1〜2週間程度です。
- 売却する
ここで初めて、通常の売買と同じ流れになります。
売却活動は先に始められる
順番として登記が先ですが、査定を取ることや、不動産会社に相談することは、名義が親のままでも問題ありません。
むしろ先に動いたほうがいい理由があります。
- いくらで売れるかが分かると、兄弟間の話し合いがまとまりやすい
- 売却額が分かれば、換価分割にするかどうかを判断できる
- 相続税の申告期限(10ヶ月)がある場合、逆算の材料になる
- 空き家の3000万円特別控除には期限がある
査定は無料で、依頼する義務も生じません。名義の状態を伝えれば、その前提で進め方を教えてもらえます。
名義変更にかかる期間と費用
期間
| 工程 | 期間の目安 |
|---|---|
| 戸籍の収集 | 2週間〜2ヶ月 |
| 遺産分割協議 | 数日〜数ヶ月(話し合い次第) |
| 登記の申請から完了 | 1〜2週間 |
書類集めより、話し合いに時間がかかるのが実際です。兄弟が遠方にいる、意見が割れている場合、ここで半年以上止まることがあります。
費用
- 登録免許税:固定資産評価額の0.4%(評価額1,000万円なら4万円)
- 戸籍などの書類代:数千円
- 司法書士に頼む場合の報酬:6万〜15万円程度
売却額が分かれば、換価分割にするかどうかを判断できます。まず金額を確かめてください。

よくある詰まりどころ
相続人の一人が反対している
共有名義になっている場合、全員の同意がないと売却できません。話がまとまらない場合の進め方は兄弟の共有名義で実家を売りたいが反対されているにあります。
相続人と連絡が取れない
戸籍から住所を辿れます。それでも所在が分からない場合、不在者財産管理人の選任という手続きがあります。時間がかかるので早めに専門家へ相談してください。
親が認知症で、まだ存命
これは相続とは別の問題です。判断能力がない状態では売買契約を結べません。成年後見の手続きが必要になります。詳しくは親が認知症で実家が売れないにまとめています。
相続人が増えている
放置している間に相続人の誰かが亡くなっていると、その人の相続人が加わります。人数が増えるほど手続きは重くなります。
祖父母の代から名義が変わっていない
数世代さかのぼる場合、相続人が数十人になることがあります。この場合は迷わず司法書士に依頼してください。
買主が決まってから慌てないために
不動産会社に相談した時点で、名義の状態を正直に伝えてください。
そのうえで、次を並行して進めます。
- 相続登記の準備(戸籍集め、遺産分割協議)
- 売却活動(査定、媒介契約、募集)
買主が現れる時期に登記が終わっている状態を目指します。買主にとっては、決済の日程が読めることが重要です。登記が終わっていないと契約に進めず、他の物件に流れることがあります。
【FAQ】名義が親のままの実家の売却についてよくある質問
Q. 名義変更をせずに売る方法はありませんか。
ありません。所有権移転登記ができないためです。
Q. 買主が見つかってから名義変更しても間に合いますか。
戸籍集めと話し合いに数ヶ月かかることがあります。買主を待たせるより、先に進めておくほうが確実です。
Q. 固定資産税の納税通知は自分に来ています。名義は変わっていますか。
変わっていません。納税通知は相続人の代表者に送られるだけで、登記とは別です。登記事項証明書で確認してください。
Q. 相続登記の費用は誰が払いますか。
不動産を取得する人が払うのが一般的です。換価分割なら売却代金から精算することもできます。
Q. 売却代金を兄弟で分ける場合、どう登記しますか。
換価分割では、代表者が単独で登記してから売却し、代金を分ける方法が使われます。遺産分割協議書にその旨を明記しておいてください。
まとめ
- 名義が親のままでは売れない。所有権移転登記ができないため
- 売却前に相続登記が必要。相続人の確定から登記完了まで数ヶ月かかる
- 査定や相談は名義が親のままでも問題なくできる
- 時間がかかるのは書類集めより、兄弟の話し合い
- 買主が現れる時期に登記が終わっている状態を目指す
まず登記事項証明書を取って、いまの名義を確認してください。法務局の窓口かオンラインで取得できます。
そのうえで、売却活動を先に始めて構いません。いくらになるかが分かると、兄弟の話し合いも進みやすくなります。
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登記を待ってから動くと、そのぶん時間を失います。査定は今日からでも取れます。

