墓じまいと実家、どっちが先?期限があるのは家のほうです

墓じまいと実家、どっちが先?期限があるのは家のほうです

この記事でわかること

  • 墓じまいには法律上の期限がなく、実家には期限が3つあること
  • 相続登記の猶予が2027年3月31日で切れること
  • 墓じまいの費用を実家の売却代金から出すという順番
  • どちらから動くかを、自分の状況から選べる判断表

親が亡くなって、実家も墓も自分のところに来た。どちらも遠くて通えないし、継ぐ人もいない。両方どうにかしないといけないのは分かっているけれど、手が回らない。

先に結論を書きます。

家が先です。墓には期限がありませんが、実家には期限が3つあります。

一番近いのが相続登記で、2024年3月31日以前に発生した相続は、2027年3月31日までに登記しないと10万円以下の過料の対象になります。今日から数えて残りは1年を切っています。墓を先に片付けている半年から1年のあいだに、家のほうで期限が来ます。

いま墓じまいを調べていて、実家がまだ名義も決まっていない状態なら、この記事を読んだあとに家のほうから手をつけてください。

目次

墓じまいに法律上の期限はない

墓を放置しても、法律で罰せられることはありません。

起きるのは管理料の請求が毎年続くことだけです。滞納が続くと、霊園の使用規則にもとづいて使用権が取り消され、最終的には無縁墓として撤去されて、遺骨は合祀されます。ただしそこまでには、公告の期間を含めて数年かかるのが通常です。

つまり、墓は待たせることができます。待たせているあいだに増えるのは管理料だけで、金額は年間数千円から2万円程度です。

相続登記の期限は2027年3月31日です。実家の名義がまだ親のままなら、墓より先に家を動かしてください。いくらになるかを調べるだけなら数日で終わります。

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実家には期限が3つある

家のほうは違います。放置すると金額が動く期限が3つあります。

期限内容いつまでか
相続登記の申請義務過料10万円以下の対象になる相続を知った日から3年以内
住宅用地の特例勧告を受けると土地の税額が最大6倍勧告の翌年から
空き家の3000万円特別控除使えないと譲渡所得税がそのままかかる相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日

相続登記は2027年3月31日で猶予が切れる

2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人には登記の申請義務があります。自分のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内です。正当な理由がないのに怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

重要なのは、施行日より前に起きた相続も対象になることです。

2024年3月31日以前に親が亡くなって、まだ名義が親のままなら、2027年3月31日までに登記する必要があります。ここが一番近い期限です。

出典:相続登記の申請義務化について|法務省

実家の名義が親のままで止まっている場合の進め方は、別の記事にまとめています。

勧告を受けると土地の税金が上がる

住宅が建っている土地には固定資産税の特例があり、200平方メートルまでの部分は課税標準が6分の1になります。誰も住んでいないだけでは、この特例は続きます。

外れるのは、市区町村から勧告を受けたときです。勧告の前には助言と指導の段階があるので、通知が来た時点で対応すれば上がりません。

すでに通知書の金額が上がっている方は、誰も住んでいない実家の税金が上がった理由を先に確認してください。

3000万円の控除には3年の期限がある

相続した家を売って利益が出たとき、被相続人の居住用財産にあたれば譲渡所得から最高3000万円を控除できます。

適用の条件は2つあります。譲渡が令和9年12月31日、つまり2027年12月31日までであること。そして、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることです。

なお、令和6年1月1日以後の譲渡で、その家屋と敷地を相続した相続人が3人以上いる場合は、控除額が2000万円になります。

出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

相続した家をいつまでに売れば税金が安いかは、時期ごとの差を計算して置いています。

順番を間違えると何が起きるか

墓じまいは、着手から納骨まで3か月から半年かかります。改葬先を決めて、受入証明書と埋葬証明書を取り、改葬許可を申請し、石材店に工事を発注し、閉眼供養の日を寺と調整する。親族に連絡して同意を取る段階でつまずくと、1年を超えることもあります。

そのあいだ、実家のほうは止まりません。名義が親のままなら期限は進み、家は傷み、雑草は伸びます。近所から苦情が来て、市区町村が動き出すこともあります。

そして墓じまいが終わったころに、家のほうで期限が切れています。

先に家を動かしておけば、この問題は起きません。査定を取るだけなら数日で終わりますし、売ると決めていなくても構いません。

墓じまいの費用は、実家の売却代金から出す

順番を家からにすると、もう1つ利点があります。お金の出どころが決まることです。

墓じまいにかかる費用は、墓石の撤去だけで30万円から50万円です。ここに離檀料と、取り出した遺骨を移す先の永代供養料が乗ります。合計で100万円を超えることは珍しくありません。

この金額を貯金から出せる人は多くありません。石材店によっては分割払いに対応していますが、借りる以上は利息の分だけ総額が増えます。

まとまったお金を作る方法は、実家が残っているなら、それを売ることくらいしかありません。

実家がいくらで売れるのかが分かって初めて、墓じまいにいくらまで出せるのかが決まります。改葬先を合祀にするか個別にするかも、樹木葬にするか納骨堂にするかも、使える金額が分からないうちは選べません。

墓じまいの費用相場と、墓じまいのお金が用意できないときにできることは、それぞれ別の記事に分けています。

墓じまいで削れるのは業者のマージンだけ

費用を抑えたいときに、どこが削れてどこが削れないのかを先に確認してください。

項目誰がやるか費用の目安
改葬許可申請自分無料〜300円
埋葬証明書の取得自分無料〜500円
受入証明書の取得自分無料〜1000円
離檀の申し入れ自分離檀料は別
改葬先の契約自分5万〜150万円
閉眼供養僧侶3万〜10万円
墓石の撤去石材店1平方メートルあたり10万〜15万円
遺骨の取り出し石材店撤去費に含む

自分でできるのが5項目、石材店に頼むしかないのが2項目、僧侶が1項目です。

墓じまいの代行業者に一括で頼むと、この8項目すべてに手数料が乗ります。削れるのは代行業者のマージンで、石材店に払う工事費そのものは削れません。

墓じまいの流れと、自分で手配する場合の順番は別記事に置いています。

なお、代行を使うなという話ではありません。遠方で何度も通えない方や、親族と揉めていて連絡そのものが負担になっている方には、代行に払う価値があります。どこまで自分でやれるかを知ったうえで頼めば、頼む範囲が減って金額も下がります。

自分の状況から、次に読む記事を選ぶ

いまの状況先にやること詳しくは
実家の名義が親のままになっている相続登記。2027年3月31日が期限名義の直し方
固定資産税の通知書の金額が上がった何の勧告を受けたのかを確認する上がった理由
兄弟と実家の扱いで割れている全員の同意が要る理由から確認する共有名義の壁
墓の管理料の請求だけが毎年来る急がなくていい。家を先に動かす放置するとどうなるか
墓じまいの費用が用意できない実家の金額を先に知るお金がないとき
寺から離檀料を提示されて止まっている支払義務の有無から確認する離檀料の相場
墓も家も、何から手をつけるか分からない下の順番のとおりに動くこの記事

動く順番

STEP
実家の名義を確認する

登記事項証明書を取れば、いま誰の名義かが分かります。親のままなら、ここが最優先です

STEP
実家がいくらになるかを調べる

査定は無料で、数日で出ます。売ると決めていなくても構いません。この金額が墓じまいの予算になります

STEP
墓の改葬先を決める

金額が分かってから選びます。ここが決まらないと改葬許可は下りません

STEP
墓じまいの見積もりを取る

霊園に指定石材店の縛りがなければ、複数社から取れます

査定を取ると営業電話が来るのではないか

一括査定は複数社に同時に依頼が届くので、連絡は来ます。断り方と、連絡を減らす頼み方は別記事に書いています。査定を取っただけで売る義務はありません。

よくある質問

墓じまいを先にやってはいけませんか?

いけないわけではありません。実家の名義がすでに自分になっていて、売却の期限も気にしなくていい状態なら、どちらが先でも構いません。止めているのは、家に期限があるのに墓から始めてしまう場合です。

実家を売らずに墓じまいの費用を作る方法はありませんか?

石材店の分割払い、カードローン、親族での分担があります。ただし借りれば利息の分だけ総額が増えますし、分担は話がまとまるまで時間がかかります。実家が残っているなら、金額だけでも先に確認してください。

墓を放置したまま実家を売っても問題ありませんか?

問題ありません。墓の使用権と家の所有権は別のものです。ただし管理料の請求は続くので、住所が変わるなら霊園に届け出てください。

相続登記をしないまま実家は売れますか?

売れません。登記の名義が親のままだと所有権を移せないので、売買の前に相続登記が必要です。名義が親のままの実家が売れない理由に詳しく書いています。

まとめ

  • 墓に法律上の期限はない。放置しても増えるのは年数千円から2万円の管理料だけ
  • 実家には期限が3つある。相続登記は2024年3月31日以前の相続なら2027年3月31日まで
  • 墓じまいは3か月から半年かかる。そのあいだに家の期限が来る
  • 墓じまいの費用は100万円を超えることがあり、原資は実家の売却代金になることが多い

墓じまいの予算を決めるにも、相続登記の期限に間に合わせるにも、最初に必要なのは実家がいくらになるのかという数字です。売ると決めていなくても、金額を知るだけなら無料でできます。

査定を取っただけで売る義務はありません。金額を知ってから、墓の改葬先を合祀にするか個別にするかを選べば、あとで足りなくなることがなくなります。

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この記事を書いた人

「実家じまいの手引き」は、親が亡くなったあとの実家をどうするかについて、実際に確認できた事実だけを掲載している個人運営の情報サイトです。

遺品整理の費用と期限、相続放棄で触れてはいけないもの、誰も住まない家にかかり続ける税金、売れない空き家の手放し方。この一連の流れを、時系列に沿ってまとめています。

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