この記事でわかること
- 空き家が火災保険に入れるかどうかがわかる
- 住宅物件と一般物件で保険料がどう変わるかがわかる
- 親の契約をそのまま引き継げるかがわかる
- 保険がない状態で火災が起きた場合のリスクがわかる
親が亡くなって実家が空き家になった。火災保険はそのままでいいのか、そもそも入れるのか。
先に結論を言います。
空き家でも火災保険に入れます。ただし「住宅物件」ではなく「一般物件」として扱われ、保険料が上がります。 保険会社によっては引受を断られることもあります。
そして見落とされやすいのが、親の契約をそのまま放置していると、いざというときに保険金が支払われない可能性があるという点です。名義も、建物の使用状況も変わっているためです。

住宅物件と一般物件の違い
火災保険では、建物の使い方によって区分が変わります。
| 区分 | 対象 | 保険料 |
|---|---|---|
| 住宅物件 | 人が居住している建物 | 標準 |
| 一般物件 | 店舗、事務所、そして居住実態のない建物 | 割高 |
誰も住んでいない空き家は、一般物件として扱われるのが原則です。
理由は、火災のリスクが高いと評価されるためです。
- 出火や延焼に気づくのが遅れる
- 放火の対象になりやすい
- 不審者の侵入や失火のリスクがある
- 建物の劣化に気づけない
保険料は、住宅物件の1.5倍から数倍になることがあります。建物の構造、所在地、補償内容によって幅があります。
例外的に住宅物件として扱われる場合
すべての空き家が一般物件になるわけではありません。次のような場合、住宅物件として認められることがあります。
- 別荘やセカンドハウスとして定期的に使用している
- 家財が置かれていて、いつでも住める状態にある
- 定期的に管理して、居住可能な状態を維持している
判断は保険会社によって違います。「月に何回行っているか」「家財が残っているか」「電気や水道は通っているか」といった実態を聞かれます。
管理サービスを入れて定期的に通風している、という事実が評価される場合もあります。契約の際に正直に伝えて確認してください。
親の契約はどうなるのか
ここが最も重要な部分です。
契約者が亡くなった場合、契約は自動的には消えません。ただし、そのままにしておくと問題が生じます。
やるべきこと
- 保険会社に死亡の連絡をする
- 契約者と被保険者の名義を相続人に変更する
- 建物の使用状況が変わったことを伝える(居住から空き家へ)
3を伝えていないと、支払いを巡って争いになる可能性があります。
火災保険には通知義務があり、建物の用途や使用状況が変わった場合は保険会社に知らせる必要があります。これを怠ると、保険金が減額されたり、支払われなかったりすることがあります。
「言わなければ安いまま」と考えるのは危険です。実際に火災が起きたときに、居住実態がなかったことは調査で分かります。
名義変更をしないとどうなるか
保険金を請求するのは被保険者です。名義が亡くなった親のままだと、請求の手続きが煩雑になります。相続関係を証明する書類が一式必要になり、時間がかかります。
入れない場合がある
一般物件として申し込んでも、引受を断られることがあります。
- 建物の劣化が著しい(雨漏り、傾き、破損)
- 長期間まったく管理されていない
- 特定空家等に指定されている
傷みが進むほど、入れなくなります。つまり、放置するほど選択肢が減ります。
引受可能な保険会社を探す場合、少額短期保険や、空き家向けの商品を扱う会社に相談する方法があります。
保険料を含めた維持費が年20万円を超えるなら、手放した場合の金額と比べる価値があります。

保険がない状態のリスク
火災保険に入らないという選択もできますが、リスクを理解しておいてください。
自分の建物が焼失する
再建も解体もすべて自己負担です。焼け跡の処理には解体費以上の費用がかかることがあります。
近隣への延焼
日本では失火責任法により、重大な過失がなければ延焼先への損害賠償責任を負わないとされています。ただし、空き家の管理が不十分だった場合、重過失を問われる可能性は否定できません。
また、法的責任がなくても近隣との関係は決定的に悪くなります。
建物の倒壊による損害
台風で屋根材が飛んで隣家の車を壊した、塀が倒れて通行人が怪我をした。こうした場合、土地工作物責任として所有者が責任を負うことがあります。
施設賠償責任特約を付けておくと、この部分がカバーされます。火災保険とセットで検討してください。
費用と、いつまで払うか
一般物件の保険料は、建物の構造と所在地で大きく変わります。木造で年間数万円というのが一つの目安ですが、条件により幅があります。
これが、空き家を持ち続ける費用に加わります。
| 費目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 数万円〜十数万円 |
| 火災保険(一般物件) | 数万円 |
| 電気・水道の基本料金 | 1〜2万円 |
| 草刈り | 3万〜15万円 |
| 管理サービス | 6万〜12万円 |
合計すると年間20万円を超える家が珍しくありません。 10年で200万円です。
管理サービスの相場は空き家の管理サービスの月額相場、持ち続けた場合の総額は実家を売るのを先延ばしにするといくら損するかにまとめています。
【FAQ】空き家の火災保険についてよくある質問
Q. 親の保険がまだ続いています。そのままでいいですか。
いけません。保険会社に連絡して、名義変更と使用状況の変更を届け出てください。届け出ていないと、支払いを巡って争いになる可能性があります。
Q. 保険料が高いので解約してもいいですか。
解約は可能ですが、火災や倒壊のリスクを自己負担することになります。とくに近隣に家が接している場合は慎重に判断してください。
Q. 家財の補償は必要ですか。
家財が残っているなら検討する価値があります。ただし遺品整理で運び出す予定なら、建物のみの補償で足りることがあります。
Q. 地震保険は付けられますか。
火災保険に付帯する形になります。一般物件でも付けられる場合がありますが、条件は保険会社によります。
Q. 売却が決まったらどうすればいいですか。
引き渡しの日で解約し、未経過分の保険料の返還を受けられます。忘れると払い続けることになるので、決済のときに手続きしてください。
まとめ
- 空き家でも火災保険に入れる。ただし一般物件扱いで保険料は上がる
- 別荘として使うなど、条件によっては住宅物件として認められることがある
- 親の契約は名義変更と、使用状況の変更届が必要。 怠ると支払われないことがある
- 傷みが進むと引受を断られる。放置するほど選択肢が減る
- 施設賠償責任特約を付けると、屋根材の飛散などの賠償に備えられる
まず保険証券を探して、保険会社に電話してください。契約者が亡くなったこと、建物が空き家になったことを伝えます。ここまでは今日できます。
そのうえで、保険料を含めた年間の維持費を計算してください。この費用を何年払うのかが、持ち続けるか手放すかの判断材料になります。
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保険に入れないほど傷む前に、いまいくらになるかを確認しておいてください。

