この記事でわかること
- 解体すると決めたあとの手続きの順番がわかる
- 補助金の申請をいつ出すべきかがわかる
- 滅失登記の期限と、やらないとどうなるかがわかる
- 解体する時期を年内にするか年明けにするかの判断ができる
解体して売ると決めた。では何から手をつけるのか。
順番を間違えると、使えたはずの補助金が使えなくなり、払わなくてよかった税金を払うことになります。
先に、いちばん多い失敗を書きます。解体業者と契約してから補助金を申請する。 ほとんどの制度で、申請は契約前・着工前が条件です。契約したあとでは対象外になります。
そして、解体してから売れるまでに時間がかかると、その間の固定資産税が上がったままになります。
なお、そもそも解体すべきかどうかはボロ家と更地はどっちが売れるかで判断してください。この記事は、解体すると決めたあとの手順です。
解体の見積もりと同時に、建物付きのままの査定も取ってください。差額を見てからでも間に合います。

正しい順番
| 順番 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| 1 | 建物付きのままで査定を取る | 差額を確認してから決める |
| 2 | 自治体に補助金の有無と申請時期を確認 | 契約前でないと使えない制度が多い |
| 3 | 複数の解体業者から見積もりを取る | 3社が目安 |
| 4 | 補助金を申請し、交付決定を待つ | 決定前に契約しない |
| 5 | 解体業者と契約 | 建設リサイクル法の届出は業者が行うことが多い |
| 6 | 近隣へのあいさつ | 業者任せにせず、自分でも回る |
| 7 | ライフラインの停止手続き | 水道は工事に使うため、業者と相談 |
| 8 | 解体工事 | 木造30坪で2週間程度 |
| 9 | 建物滅失登記 | 解体から1ヶ月以内 |
| 10 | 補助金の実績報告と受領 | 期限がある |
| 11 | 売却活動 | 更地として売り出す |
補助金は契約前に申請する
自治体によって、老朽危険空家の除却に対する補助制度があります。金額は数十万円から100万円程度まで幅があります。
共通しているのは、申請の時期です。
- 交付決定の前に契約すると対象外
- 交付決定の前に着工すると対象外
- 年度ごとに予算があり、上限に達すると受付が終わる
- 事前に建物の状態を調査する制度もある
市区町村の担当課に電話して、次の3つを聞いてください。
- 解体の補助制度があるか
- 申請から交付決定までどのくらいかかるか
- いつまでに申請すればその年度に間に合うか
無料で、その場で分かります。制度の内容は空き家の解体費用に補助金はいくら出るかにまとめています。
解体業者の選び方
3社から見積もりを取ってください。金額だけでなく、内訳を比べます。
見積書で確認する項目です。
- 建物本体の解体費
- 廃材の処分費(種類ごとの数量が書かれているか)
- 付属物の解体費(物置、車庫、塀、門扉、庭石、樹木、井戸、浄化槽)
- 残置物の処分費
- 整地の費用と仕上げの程度
- 重機の搬入費、道路使用許可の費用
- 近隣への養生費
追加請求がいちばん起きやすいのは地中埋設物です。掘ったら昔の基礎や浄化槽、井戸が出てきた。この場合の扱いをどうするか、契約前に書面で決めてください。
また、建設業の許可または解体工事業の登録があるかを確認してください。産業廃棄物の処理を適正に行う業者かどうかも重要です。不法投棄されると、依頼した側が責任を問われることがあります。
滅失登記は1ヶ月以内
建物を壊したら、法務局に建物滅失登記を申請します。
| 内容 | |
|---|---|
| 期限 | 解体の日から1ヶ月以内 |
| 申請先 | 建物の所在地を管轄する法務局 |
| 費用 | 登録免許税はかからない。自分で行えば実費のみ |
| 必要書類 | 申請書、取毀証明書、解体業者の資格証明書、印鑑証明書など |
やらないとどうなるか。
- 過料の対象になり得る
- 存在しない建物に固定資産税が課され続けることがある
- 土地を売却できない
自分でできます。解体業者から取毀証明書をもらい、法務局に提出します。書き方は法務局で教えてもらえます。司法書士や土地家屋調査士に頼む場合は数万円が目安です。
解体費を払う前に、現況でいくらになるかを確かめてください。判断が変わることがあります。

解体する時期の判断
固定資産税は、その年の1月1日時点の状態で決まります。
| 解体の時期 | その年の固定資産税 |
|---|---|
| 前年12月31日までに解体 | 住宅用地の特例が外れる |
| 1月2日以降に解体 | その年は特例が残る |
つまり、年内に解体するか年明けにするかで、1年分の税額が変わります。
ただし、判断は税額だけではありません。
- 売り出す時期を逃さないか
- 補助金の年度をまたがないか
- 冬季に工事ができる地域か
春に売り出したいなら、年明けに解体して1年分の特例を残す。この形にできることがあります。自治体の税務担当課に、自分の場合の扱いを確認してください。
解体したあとに売れなかった場合
更地のまま持ち続けると、固定資産税が上がった状態が続きます。
そのときの選択肢です。
- 隣地の所有者に打診する
- 駐車場や資材置き場として貸す
- 相続土地国庫帰属制度を検討する(更地であれば要件のひとつを満たしている)
国庫帰属の要件と費用は相続土地国庫帰属制度が使えない条件にまとめています。
【FAQ】解体してから売る手順についてよくある質問
Q. 解体費の相場はどのくらいですか。
木造で坪あたり3万〜5万円程度が目安です。前面道路が狭い、隣家が近いといった条件で上がります。
Q. 解体費を売買代金から払うことはできますか。
買主が了解すれば、契約の条件として調整できる場合があります。不動産会社に相談してください。
Q. 井戸や浄化槽はどうなりますか。
別途費用がかかります。井戸は埋め戻しの前にお祓いをする地域もあります。見積もりに含まれているか確認してください。
Q. 近隣とのトラブルを防ぐには。
工事前のあいさつを、業者任せにせず自分でも回ってください。振動、粉じん、車両の出入り。事前に一言あるかどうかで対応が変わります。
Q. 滅失登記を忘れていた場合は。
気づいた時点で申請してください。過去の分についても受け付けてもらえます。
まとめ
- 補助金は契約前・着工前に申請する。決定前に契約すると対象外
- 解体業者は3社。地中埋設物が出た場合の扱いを契約前に書面で決める
- 建物滅失登記は解体から1ヶ月以内。やらないと存在しない建物に課税され続ける
- 固定資産税は1月1日時点の状態で決まる。年内か年明けかで1年分変わる
- 解体後に売れないと、上がった税金を払い続けることになる
まず、市区町村の担当課に電話して、補助制度と申請時期を確認してください。ここが最初です。
そして、解体の見積もりを取るのと同時に、建物付きのままの査定も取ってください。差額を見てからでも、解体は間に合います。
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