この記事でわかること
- 売却額から何が引かれるのかが項目ごとにわかる
- おおよその手取りを自分で計算できる
- 税金がかからずに済む条件がわかる
- 支払いの時期がいつなのかがわかる
200万円で売れたとして、手元にいくら残るのか。
売却額がそのまま入ると考えていると、あとで足りなくなります。引かれるものは9項目あります。
そして、いちばん大きいのは譲渡所得税です。 ただし、条件を満たせばかからずに済むことがあります。ここを知らずに売ると数十万円単位で変わります。

引かれる9項目
| # | 項目 | 目安 | 支払いの時期 |
|---|---|---|---|
| 1 | 仲介手数料 | 価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合の上限) | 契約時と決済時に分割が多い |
| 2 | 印紙税 | 1千円〜1万円(価格による。軽減措置あり) | 契約時 |
| 3 | 抵当権抹消費用 | 登録免許税1件1千円+司法書士報酬 | 決済時 |
| 4 | 相続登記の費用 | 登録免許税は固定資産税評価額の0.4%+報酬 | 売却前 |
| 5 | 残置物の処分費 | 一戸建てで20万〜50万円程度 | 引き渡し前 |
| 6 | 測量・境界確定費 | 数十万円(必要な場合) | 売却前 |
| 7 | 解体費 | 木造で100万〜200万円(解体する場合) | 工事後 |
| 8 | 譲渡所得税・住民税 | 課税所得×20.315%または39.63% | 翌年の確定申告 |
| 9 | 固定資産税の精算 | 引き渡し日で日割り。売主が受け取る側になることが多い | 決済時 |
4から7は、必要な場合だけかかります。名義がすでに自分になっていて、荷物がなく、境界が確定していて、解体しないなら発生しません。
仲介手数料の上限
宅地建物取引業法で上限が決まっています。
| 売買価格 | 上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 価格×5% |
| 200万円超400万円以下 | 価格×4%+2万円 |
| 400万円超 | 価格×3%+6万円 |
いずれも別途消費税がかかります。
低廉な空家等の売買には特例があります。400万円以下の物件について、調査などに要する費用を含めて一定額まで受領できる仕組みです。事前に説明と合意が必要とされています。
金額が小さい物件では、この特例の適用があるかを契約前に確認してください。
譲渡所得税の計算
いちばん大きく、いちばん見落とされる項目です。
譲渡所得
= 売却額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除
税額
= 譲渡所得 × 税率
税率は所有期間で変わります。
| 所有期間 | 税率(所得税・住民税・復興特別所得税の合計) |
|---|---|
| 5年超(長期) | 20.315% |
| 5年以下(短期) | 39.63% |
相続した家の場合、所有期間は親が取得した日から引き継ぎます。相続してすぐ売っても、親が長く持っていれば長期になります。
参考:土地や建物を売ったとき|国税庁
取得費が分からないとき
親がいつ、いくらで買ったのかが分からない。古い家ではよくあります。
その場合、売却額の5%を取得費とみなすことができます。
ただし、これを使うと取得費がほとんど計上できず、売却額のほぼ全額が譲渡所得になります。税額が大きく変わるので、まず契約書や領収書を探してください。詳しくは親の家の取得費が分からない、契約書がないにまとめています。
税金がかからずに済む条件
相続した空き家を売る場合、最大3000万円の特別控除があります。これが使えれば、多くの場合で譲渡所得税はかかりません。
主な要件です。
- 亡くなった方が一人で住んでいた家であること
- 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続してから売るまで、事業や貸付、居住に使っていないこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 耐震基準を満たすか、取り壊して売ること(2024年1月1日以後の譲渡では、買主が譲渡後に取り壊した場合なども対象)
要件は細かく、当てはまらない点が1つでもあると使えません。税務署か税理士に確認してください。期限の考え方は相続した家はいつまでに売れば税金が安いかにあります。
手取りの試算は不動産会社に頼めます。査定と同時に出してもらってください。

手取りの計算例
築古の空き家を、相続登記を済ませてから現況のまま仲介で売った場合の形です。
売却額 2,000,000円
- 仲介手数料(200万円×5%+税) 110,000円
- 印紙税 1,000円
- 相続登記費用 (済んでいれば0円)
- 残置物の処分費 (残したまま売れば0円)
- 譲渡所得税 (3000万円控除が使えれば0円)
────────────────────────────
手取り 約1,889,000円
この形にできるかどうかは、条件で変わります。実際の金額は、査定と同時に不動産会社に試算してもらってください。
支払いの時期
現金を用意しておく必要があるのは次の場面です。
| 時期 | 支払うもの |
|---|---|
| 売却前 | 相続登記費用、測量費、解体費 |
| 契約時 | 印紙税、仲介手数料の一部 |
| 決済時 | 仲介手数料の残り、抵当権抹消費用 |
| 翌年の確定申告 | 譲渡所得税・住民税 |
売却前にかかるものは、売却代金が入る前に必要です。解体を先にすると、この負担が大きくなります。
そして、譲渡所得税は売った翌年に払います。代金を使い切ってしまうと、翌年に手元がなくなります。控除が使えるかを先に確認してください。
【FAQ】空き家売却の諸費用についてよくある質問
Q. 手取りを事前に教えてもらえますか。
不動産会社に依頼すれば試算してもらえます。査定のときに「手取りでいくらになるか」と聞いてください。
Q. 損が出た場合も申告が必要ですか。
譲渡所得がマイナスなら税額は発生しませんが、特例を使う場合は申告が必要です。
Q. 兄弟で分けるときはどう計算しますか。
共有で売った場合、持分に応じて各自が申告します。詳しくは実家を売ったお金の兄弟での分け方にあります。
Q. 仲介手数料は値引きできますか。
上限が決まっているだけで、金額は交渉できます。ただし低額の物件では会社側の採算が厳しく、応じないことが多くあります。
Q. 買取の場合も仲介手数料はかかりますか。
不動産会社が直接買う場合、仲介手数料はかかりません。
まとめ
- 引かれるのは9項目。必要な場合だけかかるものが4つある
- 仲介手数料には上限がある。低廉な空家等には特例がある
- いちばん大きいのは譲渡所得税。売った翌年に払う
- 相続した空き家の3000万円特別控除が使えれば、多くの場合で税額はゼロになる
- 取得費が分からないと売却額の5%しか引けず、税額が大きくなる
まず、契約書と領収書を探してください。取得費が証明できるかどうかで金額が変わります。
そのうえで、査定のときに「手取りでいくらになるか」を聞いてください。売却額ではなく、手元に残る額で判断してください。
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