この記事でわかること
- 値がつかない田舎の家を手放す方法が5つわかる
- 自治体への寄付がほぼ通らない理由がわかる
- 無料引き取りを謳う業者で注意すべき点がわかる
- 持ち続けた場合との金額の差が計算できる
田舎の実家を相続した。不動産会社に相談したら「値段がつかない」と言われた。誰かもらってくれないか。
先に、現実を書きます。
値がつかない家でも、手放す方法はあります。 ただし、多くの場合、こちらが費用を負担することになります。無料で引き取ってもらえるとは限りません。
そして、自治体への寄付はほとんど通りません。 期待して待っていると、その間も固定資産税と管理費がかかり続けます。
大事なのは、持ち続けた場合の総額と比べることです。年20万円かかる家なら、10年で200万円。100万円払って手放すほうが安いという判断は十分に成り立ちます。
自治体が受け取らない土地でも、扱う会社はあります。まず、いくらになるかを確かめてください。

手放す方法は5つ
| 方法 | 費用 | 期間 | 実現しやすさ |
|---|---|---|---|
| 安くても売る | 0円(仲介手数料は代金から) | 数ヶ月〜 | 中 |
| 買取業者に買ってもらう | 0円。ただし安い | 1ヶ月前後 | 中 |
| 隣地の所有者に譲る | 0円〜数十万円 | 数ヶ月 | 意外に高い |
| 引き取り業者に有償で引き取ってもらう | 数十万〜100万円超 | 1〜2ヶ月 | 高い |
| 相続土地国庫帰属制度 | 解体費+負担金 | 1年前後 | 低い |
上から順に試すのが基本です。
1 まず本当に値がつかないか確かめる
「値段がつかない」と言われたのが1社だけなら、その会社が扱えないだけの可能性があります。
一般的な仲介会社は、都市部の物件を効率よく回すのが得意です。田舎の家は、買主を見つけるのに時間がかかり、手数料も少ないため、積極的に扱われないことがあります。
一方で、地方の物件や条件の悪い物件を専門に扱う会社があります。移住希望者、二拠点生活、資材置き場、近隣の農家。都市部とは違う買主層を持っています。
複数社に査定を出してください。1社で諦める前にやることです。
2 隣地の所有者に声をかける
もっとも見落とされている出口です。
隣の土地の所有者にとって、あなたの土地は次の価値を持ちます。
- 自分の土地と一体になって広くなる
- 接道が改善される
- 駐車場や資材置き場になる
- 境界の問題が解消される
第三者には値がつかない土地でも、隣地の所有者にとっては価値があることがあります。
自分で声をかけにくい場合は、不動産会社に打診してもらえます。地元の会社なら、近隣の事情を知っていることも多くあります。
3 自治体への寄付はほぼ通らない
期待している方が多いので、はっきり書きます。
自治体は原則として個人の不動産の寄付を受け付けません。
理由は明確です。
- 受け取ると固定資産税が入らなくなる
- 管理の責任と費用を負うことになる
- 使い道がない
- 前例を作ると同じ申し出が続く
公共事業に必要な土地など、行政側に使う目的がある場合に限られます。「いらないから引き取ってほしい」という理由では通りません。
窓口に相談すること自体は自由ですが、断られる前提で、他の方法も同時に進めてください。
4 有償の引き取り業者
こちらが費用を払って引き取ってもらう仕組みです。
料金は物件によって大きく変わりますが、数十万円から100万円を超えることもあります。建物の解体が必要な場合はさらに上がります。
検討する前に、次を計算してください。
持ち続けた場合の10年の総額
=(固定資産税 + 火災保険 + 光熱費 + 草刈り + 管理費)× 10
+ 建物の劣化による将来の解体費
年20万円なら10年で200万円です。ここに解体費が乗ります。
引き取り費用がこれを下回るなら、払って手放すほうが合理的です。
ただし業者選びに注意が必要です。
- 見積書を書面で出すか
- 所有権移転登記まで完了させるか(ここが済まないと責任が残る)
- 追加費用が発生する条件は何か
- 会社の実態があるか(登記簿、事務所)
「無料で引き取ります」を掲げる業者には特に注意してください。後から高額な手数料を請求される事例が報告されています。無料で引き取って利益が出る物件は限られます。
田舎の物件は地元の事情を知っている会社が強くなります。対応できる会社をまとめて探せます。

5 相続土地国庫帰属制度
2023年4月から始まった、相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。
参考:相続土地国庫帰属制度|法務省
要件が厳しく、多くの空き家は対象外です。
- 建物が建っている土地は使えない。解体が必要
- 担保権や使用収益権が設定されていない
- 土壌汚染がない
- 境界が明らかで、争いがない
- 崖地や、管理に過分の費用がかかる土地でない
そして、承認されても10年分の管理費相当額を負担金として納めます。宅地なら原則20万円ですが、市街化区域などでは面積に応じて算定され、それより高くなります。審査手数料も土地1筆あたり14,000円かかります。
建物を壊して、審査を受けて、負担金も払う。ここまでの費用と、有償引き取りや安値での売却を比べてから判断してください。
詳しくは相続土地国庫帰属制度が使えない条件にまとめています。
空き家バンクは補助的に使う
自治体が運営する物件の掲載サイトです。登録は無料ですが、掲載しただけでは売れません。
- 見に来る人が限られる
- 実際の取引は提携する不動産会社が仲介する
- 登録件数が多い地域では埋もれる
登録しておく価値はありますが、これだけに頼らず、並行して他の方法を進めてください。詳しくは空き家バンクに登録したけど売れないにあります。
【FAQ】田舎の実家を手放したいときのよくある質問
Q. 相続放棄すれば手放せますか。
放棄すれば所有者ではなくなりますが、預貯金など他の財産もすべて受け取れなくなります。また期限は3ヶ月です。詳しくは相続放棄は家だけできるかにあります。
Q. 農地や山林も一緒に引き取ってもらえますか。
農地は農地法の許可が必要で、扱いが別になります。山林も含めて山林や田んぼがいらない、処分したいで扱っています。
Q. 建物を壊したほうが引き取ってもらいやすいですか。
その場合もありますが、解体費が数百万円かかることがあります。壊す前に、建物付きのままでいくらになるかを確認してください。
Q. 親戚に譲るのはどうですか。
可能ですが、贈与税がかかることがあります。また相手にも管理の負担が移ります。金額と条件を明確にしておいてください。
Q. 期限はありますか。
相続登記は3年以内が義務です。また空き家の3000万円特別控除は相続から3年で使えなくなります。
まとめ
- 値がつかなくても手放す方法はある。ただし費用を負担することが多い
- 1社に断られただけなら、扱える会社が別にある可能性が高い
- 隣地の所有者は、もっとも見落とされている買主
- 自治体への寄付はほぼ通らない。期待せず並行して進める
- 「無料で引き取る」を掲げる業者には注意。書面と登記完了を確認する
まず、複数社に査定を出してください。1社の「値段がつかない」で諦めるのは早すぎます。
そのうえで、持ち続けた場合の10年の総額を計算してください。年20万円なら200万円です。その金額を基準にすれば、いくらまで払って手放す価値があるかが決まります。
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引き取ってほしいと考えている家でも、値がつくことがあります。判断は金額を見てからで間に合います。

