この記事でわかること
- 解体してから売ると損になる場合がわかる
- 建物付きのままのほうが有利なケースがわかる
- 解体前に必ず確認すべき3点がわかる
- 手取り額で比較する計算式がわかる
築50年の実家。誰が見ても住める状態ではない。壊して更地にしたほうが売れるのではないか。
先に、いちばん重要なことを書きます。
解体は最後にしてください。 壊してから売ると損になるケースが、実際にはかなりあります。
理由は3つです。解体費が売却額に上乗せされるとは限らない。更地にすると固定資産税が上がる。そして建物付きでないと使えない出口が消える。
順に見ていきます。
建物付きのままいくらになるかを先に確かめてください。解体するかどうかは、その数字で決まります。

解体すると損になる3つの理由
1 解体費が売却額に反映されない
木造30坪の解体費は100万〜200万円が目安です。
この費用を払った分だけ売却額が上がるとは限りません。
買主が更地を求めている場合は上がります。ところが、買主が業者や投資家の場合、解体は自分でやるほうが安いため、こちらが払った解体費は評価されません。
つまり、100万円払って売却額が50万円しか上がらない、ということが起こります。
2 固定資産税が上がる
住宅が建っている土地には、固定資産税を安くする住宅用地の特例があります。
| 区分 | 面積 | 課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200平方メートルまで | 6分の1 |
| 一般住宅用地 | 200平方メートル超の部分 | 3分の1 |
建物を壊すと、この特例が外れます。名目上は最大6倍です。
売れるまでに1年かかれば、その間ずっと上がった税額を払い続けることになります。
仕組みは誰も住んでない実家の税金が上がったのはなぜかにまとめています。
3 建物付きでないと使えない出口が消える
再建築不可の土地では致命的です。
接道義務を満たしていない土地は、建物を壊すと新しく建てられません。いま建っている家は、壊した瞬間に二度と建てられなくなります。
建物があればリフォームして住むことも貸すこともできますが、更地にすると建てられない土地になり、買主がさらに減ります。
再建築不可については再建築不可で売れない、固定資産税だけ払っているにあります。
また、市街化調整区域でも、既存の建物があることで認められる利用があります。
建物付きのままのほうが有利なケース
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 再建築不可の土地 | 壊すと建てられなくなる |
| 市街化調整区域 | 既存建物の権利が失われることがある |
| 買主が業者・投資家 | 解体は自社でやるほうが安い |
| 3000万円特別控除を使う | 買主が譲渡後に取り壊す形でも適用され得る |
| 売却まで時間がかかりそう | 税金が上がった状態で待つことになる |
| リフォームして使える程度の傷み | 住む目的の買主がつく可能性がある |
4つ目は税制の話です。
相続した空き家の3000万円特別控除は、耐震改修するか取り壊して売るのが要件でしたが、2024年1月1日以後の譲渡については、買主が譲渡後に取り壊した場合なども対象とされています。
つまり、自分で解体しなくても控除を使える可能性があります。要件は細かいので、税理士か税務署に確認してください。
参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
更地にしたほうが有利なケース
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 住宅地で、買主が家を建てる目的 | 更地のほうが判断しやすい |
| 建物が倒壊しそうで危険 | 勧告のリスクがある |
| 駐車場や資材置き場の需要がある | 建物が邪魔になる |
| 解体補助金が使える | 費用の一部が戻る |
解体補助金は自治体によって10万〜100万円程度が支給されることがあります。
ただし多くの制度で「契約前・着工前の申請」が条件です。業者と契約したあとでは対象外になります。詳しくは空き家の解体費用に補助金はいくら出るかにまとめています。
解体前に確認すべき3つ
1 建物付きのままの査定を取る
複数社に、いまの状態で査定を出してもらってください。「更地にしたらいくらか」も同時に聞けば、差額が分かります。
差額が解体費を下回るなら、壊す意味はありません。2 再建築できる土地か確認する
自治体の建築指導課に電話して、接道の状況を聞いてください。無料で、その場で分かります。
再建築不可なら、解体は原則として避けるべきです。3 解体補助金の有無と申請の時期を確認する
市区町村の担当課に聞いてください。契約前でないと使えない制度がほとんどです。
更地にした場合の金額も、査定のときに一緒に聞けます。差額が解体費を下回るなら壊す意味はありません。

手取りで比べる
計算式はこれだけです。
建物付きで売る場合の手取り
= 売却額 - 仲介手数料 - 譲渡所得税
更地にして売る場合の手取り
= 売却額 - 仲介手数料 - 譲渡所得税
- 解体費 + 解体補助金
- 売却までに上がった固定資産税
下の式のほうが大きくなるなら、解体する価値があります。
多くの場合、解体費と上がった税金の合計が、売却額の上昇分を超えます。だから「まず建物付きで査定を取る」のが正しい順番になります。
解体を先にやってしまった場合
すでに壊してしまったなら、次の2つを急いでください。
早く売る
固定資産税が上がった状態で持ち続けるほど損が増えます。
譲渡の期限を確認する
相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までなら、空き家の3000万円特別控除が使える可能性があります。期限は相続した家はいつまでに売れば税金が安いかにあります。
【FAQ】ボロ家と更地の比較についてよくある質問
Q. 買主に「更地にしてほしい」と言われました。
その場合は、解体費を売買代金に反映してもらう交渉ができます。契約の条件として整理してください。
Q. 傾いていて危険な家です。それでも残すべきですか。
倒壊のおそれがあるなら、勧告や代執行のリスクがあります。安全が優先です。ただし解体前に査定は取ってください。
Q. 解体すると税金はいつから上がりますか。
その年の1月1日時点で建物がなければ、その年の課税から上がります。年内に売れる見込みがあるかで判断が変わります。
Q. 一部だけ解体することはできますか。
物置や車庫だけ壊すことはできます。ただし住宅がなくなれば特例は外れます。
Q. 解体費の相場はどのくらいですか。
木造で坪あたり3万〜5万円程度が目安です。前面道路が狭い、隣家が近いといった条件で上がります。
まとめ
- 解体は最後にする。壊してから売ると損になることがある
- 解体費が売却額に反映されるとは限らない
- 更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がる
- 再建築不可の土地では、壊すと二度と建てられなくなる
- 2024年以降は、買主が取り壊す形でも3000万円控除が使える場合がある
まず、建物付きのままで査定を取ってください。そのとき「更地にした場合はいくらか」も一緒に聞く。差額が解体費を下回るなら、壊す意味はありません。
そして自治体の建築指導課に、再建築できる土地かを確認してください。ここが分かれ目になります。
次に読む
この記事と同じ段階で読まれているものです。
解体費を払う前に、現況での査定を取ってください。無料で、複数社の金額を並べられます。

