この記事でわかること
- 負動産の出口が7つあることがわかる
- 費用が安い順、確実な順の並びがわかる
- 自分の物件がどの出口に当てはまるか判断できる
- やってはいけない順番がわかる
持っているだけで固定資産税と管理費がかかり、売ろうとしても値がつかない。そういう不動産を負動産と呼びます。
先に、判断の軸を示します。
出口は7つあります。 そして選ぶ順番は決まっています。上から順に試して、だめなら次に進む。いきなり下の選択肢に飛ぶと、余計な費用を払うことになります。
いちばんやってはいけないのは、先に解体してしまうことです。理由は後で書きます。
7つの出口のうち、上の3つは査定を取るところから始まります。ここまでは費用がかかりません。

7つの出口
| # | 方法 | 手取り | 期間 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 仲介で売る | プラス | 3ヶ月〜1年以上 | 買主次第 |
| 2 | 隣地の所有者に売る | プラス | 1〜3ヶ月 | 相手次第 |
| 3 | 買取業者に売る | 小さいプラス | 1〜2ヶ月 | 比較的容易 |
| 4 | 0円で譲渡する | 費用のみ | 1〜3ヶ月 | 相手を探すのが難しい |
| 5 | 有償の引き取り業者 | 数十万〜100万円超のマイナス | 1〜3ヶ月 | 容易 |
| 6 | 相続土地国庫帰属制度 | 解体費+負担金のマイナス | 半年〜1年 | 要件が厳しい |
| 7 | 相続放棄 | ゼロ | 3ヶ月以内 | 他の財産も放棄 |
上に行くほど手取りが大きく、下に行くほど確実に手放せます。
1 仲介で売る
もっとも手取りが大きい方法です。まずここから始めてください。
負動産だと思っていた家に、実際には値がつくことがあります。自分の判断で価値がないと決めないでください。
やること。
- 複数社に査定を出す
- 現況のまま出す。修繕も解体もしない
- 金額だけでなく、どういう出口を考えているかを聞く
1社に断られただけで諦めないでください。断る理由は会社の事情であることが多くあります。詳しくは空き家を不動産屋に断られたにあります。
2 隣地の所有者に売る
もっとも見落とされている出口です。そして成約率がいちばん高い相手でもあります。
隣の所有者にとっての価値。
- 土地が広がる
- 接道が改善して、建て替えができるようになる
- 境界の問題が解消する
- 駐車場や庭として使える
第三者には値がつかない土地でも、隣の人には具体的な使い道があります。再建築不可の土地では、これが最有力の出口になります。
自分で言い出しにくければ、不動産会社に打診してもらえます。
3 買取業者に売る
会社が直接買い取ります。仲介の相場より下がりますが、買主を待つ必要がありません。
条件の悪い物件では、そもそも仲介で買主がつかないため、金額を比べる意味が薄いこともあります。
現況のまま買い取る、契約不適合責任を免除する形にする、といった条件で扱う会社があります。荷物が残っていても引き取る会社もあります。
4 0円で譲渡する
タダで引き取ってもらう方法です。ただし、無料では終わりません。
かかる費用。
- 登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
- 契約書の作成費用
- 測量費(境界が未確定なら)
そして注意点。個人が個人に0円で渡すと、受け取った側に贈与税がかかることがあります。法人が受け取る場合も課税関係が生じます。
詳しくは空き家をタダでもいいから手放したいにまとめています。
5 有償の引き取り業者
こちらがお金を払って引き取ってもらいます。数十万円から100万円超が目安です。
確実性は高い方法です。ただし業者選びに注意が必要です。
確認すること。
- 宅建業の免許を持っているか
- 所有権移転登記まで完了させる契約になっているか
- 前払いを求めていないか
- 費用の内訳が明示されているか
いちばん重要なのは登記です。登記が移らなければ、お金を払っても所有者はあなたのままです。税金も管理責任も続きます。
6 相続土地国庫帰属制度
国に引き取ってもらう制度です。2023年4月に始まりました。
ただし、建物が建っている土地は使えません。解体してからでないと申請できません。
かかる費用。
解体費(木造30坪で100万〜200万円)
+ 審査手数料(1筆14,000円)
+ 負担金(宅地は原則20万円)
+ 審査期間中の固定資産税
総額150万〜300万円になることがあります。有償の引き取り業者より高くつく場合が多くあります。
すでに更地である、農地や山林で他に引き取り手がない、といった場合に検討する制度です。要件は相続土地国庫帰属制度が使えない条件にまとめています。
負動産だと思っていた家に値がつくことがあります。判断は金額を見てからで間に合います。

7 相続放棄
相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述します。
いらない不動産だけを放棄することはできません。預貯金も含めて、すべての財産を放棄することになります。
そして見落とされやすい点があります。放棄しても、次に管理する人が決まるまでは管理の義務が残る場合があります。相続人全員が放棄した場合、相続財産清算人の選任を申し立てることになり、予納金として数十万円から100万円程度が必要になることがあります。
すでに3ヶ月を過ぎている、他に価値のある財産がある、という場合は使えません。
やってはいけない順番
先に解体する。
これがもっとも多い失敗です。
- 解体費を払っても、その分だけ売却額が上がるとは限らない
- 更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がる
- 再建築不可の土地では、壊した瞬間に二度と建てられなくなる
判断の材料はボロ家と更地はどっちが売れるかにまとめています。
先にリフォームする。
費用を回収できないことがほとんどです。買主は自分の好みで直したいと考えます。1社に断られて諦める。
扱える会社と扱えない会社が明確に分かれる領域です。
待っている間の費用
動かずにいる間も、費用は出続けています。
| 項目 | 年額の目安 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 数万〜十数万円 |
| 火災保険 | 1万〜3万円 |
| 電気・水道の基本料金 | 2万〜3万円 |
| 草刈り・管理の委託 | 3万〜10万円 |
| 交通費 | 地域による |
年20万円を超える家は珍しくありません。5年で100万円です。
そして建物は毎年傷みます。放置した年数が長いほど出口は減ります。
さらに、管理不全空家等や特定空家等に指定されると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる仕組みがあります。詳しくは空き家を放置すると税金が6倍になるのは本当かにあります。
進める順番
- 複数社に査定を出す(現況のまま。修繕も解体もしない)2. 同時に、隣地の所有者への打診を依頼する
- 仲介で動かなければ買取業者に切り替える
- 値がつかないなら、有償の引き取りと国庫帰属の総額を比べる
- 相続直後で他に財産がないなら、3ヶ月以内に放棄を検討する
1と2は同時に進められます。ここまでは費用がかかりません。
【FAQ】負動産の処分についてよくある質問
Q. 固定資産税を払わないとどうなりますか。
延滞金が加算され、最終的に財産の差押えを受けることがあります。放置しても解決しません。
Q. 名義が親のままでも売れますか。
相続登記を済ませてからでないと売却できません。2024年4月から相続登記は義務化されています。
Q. 共有名義で意見が合いません。
売却には共有者全員の同意が必要です。自分の持分だけを売ることは法律上可能ですが、買い手はほぼつきません。
Q. 買取業者と引き取り業者の違いは何ですか。
買取業者はお金を払って買い取ります。引き取り業者はこちらがお金を払って引き取ってもらいます。まず買取から当たってください。
Q. 遠方でも相談できますか。
その地域の会社に相談してください。まとめて査定を依頼できる仕組みを使えば、対応できる会社が分かります。
まとめ
- 出口は7つ。上から順に試す
- 仲介と隣地への打診が最初。ここまでは費用がかからない
- 買取業者、0円譲渡、有償の引き取りと、確実性が上がるほど手取りは減る
- 国庫帰属は建物があると使えず、総額150万〜300万円になることがある
- 先に解体しない。先にリフォームしない。1社で諦めない
まず、現況のまま複数社に査定を出してください。そのとき隣地の所有者への打診も一緒に頼んでください。
負動産だと思っていた家に値がつくことがあります。 判断はそれからで間に合います。待っている間も費用は出続けているので、動くのは早いほうが有利です。
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まず現況のまま、複数社に査定を出してください。隣地への打診も一緒に頼めます。

